2015年2月17日火曜日

ストーカー法

公称・827万世帯の会員数を抱え、支持政党・公明党を通じて政界にも大きな影響力を持つ、“宗教界のガリバー”創価学会。学会員たちからの寄付や、「聖教新聞」の発行、書籍出版などから得られる収入は莫大な額に及ぶともいわれ、まさに“大企業”としての顔も持つ。そんな学会であるが、ここ数年、ストーカー規制法や、しつこい勧誘の模様が動画サイトへ流出したり、内部情報が流出するリスクの高まりを受け、新規勧誘が難しくなってきているという。加えて、「フライデー」(講談社)で、学会幹部Y氏が、複数の女性職員と“ハレンチな”行為を繰り返していた事実が報じられたり、彼らの傲慢な振る舞いなどを受け、学会内部では上層部への不信が高まっているという。実際に活動する学会員数は減り、最近では、「学会員は専業主婦と高齢者ばかり」「終わりの始まりが進行しつつある」(学会職員)との声も聞こえる。そこで今回、現役学会職員A氏と、学会員のB氏、C氏に、「いま、学会の内部では何が起こっているのか?」について聞いた。――学会といえば「折伏」と呼ばれる熱心な勧誘活動が有名でした。
A氏 もう10年以上も前から、学会内部でもあまり耳にすることはない。1990年代後半から、熱心な折伏ができなくなった。当時、ストーカーという言葉が社会を賑わせていた時期とちょうど符合する。特に、00年にストーカー規制法が成立し、勧誘目的で相手の自宅への訪問、待ち伏せ、過度の電話メール連絡を自粛せざるを得なくなった。学会にとっては“終わりの始まり”かもしれないとの危機感を持った。
B氏 この頃から、学会への新規入会を目的とした自宅訪問や電話連絡、郵便受けへの手紙投函がしにくくなった。とはいえ、当時は「恋愛感情に関することではないから、もっと積極的に攻めろ」と本部長や支部長、幹部から責められた。
 しかしこうした勧誘がもし問題になった場合、責任はすべて訪問者がかぶることになる。そうすると学会員の中には、学会活動そのものに疑問を持ち、離れざるを得なくなる者も出てくる。学会内部の言葉でいう「未活」と呼ばれるのがそれだ。
未活動の学会員の「連れ出し」も功を奏さず
――「未活」とは、具体的にどういうものでしょうか?
B氏 学会を脱会することは意外に難しい。「組織」と呼ばれる地域ごとの末端組織では、脱会者が出ると、それは組織幹部の信心が足りないからだと上から判断される。なので、学会員は脱会希望を押しとどめる。そのため学会は辞めないが、活動はしない……という「未活」を増やすことになった。

 以前は、学会側も、内部では未活者への活動参加を促すこうした「連れ出し」という勧誘も熱心に行っていたが、ストーカー法成立により、これも難しくなってきた。
未活者への活動参加呼びかけを目的とした訪問を頻繁に行うと、ストーカー呼ばわりされる。場合によっては「警察呼ぶぞ」とまで言われる。こちらとしては学会に籍のある人、つまり身内意識で活動への参加を促しているだけなのだが……。
 もし、自分の活動参加への呼びかけが原因で、正式に「脱会したい」と言われると、今度は、自分が幹部会員から「切られる」。
士官学校=創価大出身幹部の呆れた実態
――「切る」とは、どういう行為でしょうか?
B氏 なにがしかの問題がある行動について、幹部が徹底的に詰問することをいう。学会の士官学校=創価大出の若い幹部は、自分よりも年上の会員でも容赦なく切っている。そこに不満を覚える学会員は数多い。
――具体的に、どのようなことをするのでしょうか?
B氏 例えば、未活の学会員への活動参加の勧誘に失敗した場合、創価大出身の幹部は、
 「なぜ、未活者ひとり連れ出しができない? それは、あなたがその未活者のことを真剣に祈っていないからでしょう? それで広宣流布(多くの人を学会に入会させること)ができると思ってるんですか? 池田先生のお役に立てるのですか?」
と、容赦なく詰問する。
 こうした若い創価大出身の学会職員幹部は、自らが担当する末端地域組織の会員の実活動数、機関紙である聖教新聞の部数拡張、財務と呼ばれる寄付金額の多寡をやたらと気にする傾向がある。しかし実際のところ、学会の末端地域組織では、その要求に応えることは、年々、時代を経るごとに難しくなっているのが現実だ。
――難しくなってきている原因は、なんでしょうか?
A氏 ストーカー防止法成立以降の社会の目、それとマンションやアパートでもオートロック式のところが増えたためです。また、インターネットの発達、ボイスレコーダー、動画撮影などで、新規入会の勧誘や、未活者への連れ出しの様子について“証拠”を押さえられ、それをネット掲示板やYouTubeなどで流される時代になった。昔のように、学会員大勢で家庭訪問など、とてもできるものではない。
幹部のハレンチ事件が学会衰退に追い討ち
――以前、「フライデー」(講談社)で、創価学会全国男子部長(当時)・Y氏の、女性職員幹部複数名とのハレンチ行為が報じられました。学会内では、どのように受け止められたのでしょうか?
B氏 東京大学合格を蹴って創価大へ入学・卒業したYは、超エリートとして学会では有名だった。しかし、大勢の末端会員には「池田先生の手駒として活動しなければならない」と指導しておきながらも、自分は、報道されただけでも4人もの女性職員と乱倫。真面目に活動している学会員の士気は、大きく下がった。
 しかも、このY元全国男子部長は、同ポストを追われたのみで、職員としてはエリート部署である第一庶務局所属を外れたものの、そのまま学会に留まり、社宅にも引き続き住んでいるという。
 こうした学会高級幹部の不祥事事案により、末端会員の幹部への不信もあり、学会全体が、かつてほど厳しい内部引き締め、外部への強引な勧誘を、徐々に行わなくなってきたという。
学会に残った活動家の負担は大きく……
――これから組織を維持するためには、新規入会者の獲得や、多額の財務(寄付金)が必要だと思いますが、組織運営はかなり厳しいのではないでしょうか?
B氏 今、学会員は高齢者と専業主婦ばかりになりつつあります。5年くらい前から、新規会員の勧誘はさらに困難を極め、また未活者の連れ出しも難しくなり、財務集めも厳しくなってきた。そのため、ひとりで学会機関紙「聖教新聞」を10部、20部と購読する者や、500万円、1000万円と、多額の財務を行おうという動きが出てきた。
 しかし、活動家の大半が定年を過ぎた高齢者と専業主婦という現状では、いくらひとりの会員が多額の寄付や多数の機関紙購読を行ったところで、学会という巨大組織の運営を賄うにはやはり無理がある。
FXで財務費用を捻り出す婦人部員
――すると、学会はいよいよ衰退への一途をたどっていくのでしょうか?
A氏 そうとも言い切れません。例えば、大卒の若い専業主婦の学会員たちは、我々が何十年もかかったことを、さらっとやってのける。若いのにポンと多額の財務を行う人もいて、さすが婦人部(学会内で既婚女性が所属する組織のひとつ)と感心している。
多額の寄付で、池田名誉会長からのメッセージが
――まさに、Cさんのような専業主婦学会員ですね。
C氏 創価学会の寄付金稼ぎを目的にFX(外国為替証拠金取引)を始め、月に5万円から30万円程度、コンスタントに稼げるまでになりました。金融庁によるレバレッジ規制後は海外業者を使って取引してます。普段はレバ10倍程度。勝負をかけるときは200倍で。ハイ・レバレッジで調子がいいときは、1万円を10日間で60万円にした。もちろん全部、学会に財務しました。
 おかげさまで、多額の財務への礼として、池田名誉会長からのメッセージ(伝言)をいただく機会が増えました。
――やはり学会では、より多くの財務を行った人が、評価されるようになっているのでしょうか?
A氏 かつて学会では、新規会員の獲得数、学会内部の言葉でいう「折伏の数」がモノをいう世界だった。しかし今の時代、学会という組織が成熟、かつ2世、3世どころか4世も出てきた今、学会の外に人脈を持つ人は少ない。ゆえに新規入会者を増やしたくとも、そのためのツテすらないのが現実だ。
 組織としては成熟期を過ぎ、安定期を迎えた学会にとって、新規入会者は(学会)内部の常識が通らず、これを外に漏らす危険な存在でもある。そのため学会内部では、学会員としての存在感を示す指標は新規入会者の勧誘の数、すなわち「折伏の数」から「財務の額」に変わりつつあるというのが実態。
B氏 正直、人を勧誘するよりも、カネを集めるほうが難しい。